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住宅の省エネ計算のやり方

住宅の省エネ計算のやり方

来年(2025年)の4月からは住宅の省エネ基準適合が義務となりますね。

基準に適合していないと建築許可が下りなくなります。

 

もっとも、住宅の省エネ基準への適合率は2022年時点で90%を超えていますので、ここについては特に問題はないでしょう。

 

むしろ大変なのは「確認申請と同じタイミングで省エネ基準への適合を証明する必要がある」ところではないでしょうか。

着工前に適合判定を終えておかなければならなくなります。

 

国交省資料より

上にある通り、確認申請と同時に審査機関に省エネ適合判定の審査を依頼する必要があります。

審査後、適合判定通知書を行政に提出してようやく建築許可がありるという流れに変わります。

 

適合判定を得るには省エネ計算が必要となります。これは自社で行っても外注してもどちらでも構いません。

どちらでも良いのですが、省エネ計算とはどういったものかあらためて掴んでおくことで、自社で計算をするか、

外注に出すかの判断がつきやすいでしょう。

 

ということで今回は省エネ計算、特に外皮計算について、その概要を解説していきます。

 

標準計算ルートと仕様ルート

住宅の省エネ基準への適合判定において、その判断基準となる省エネ計算は2種類あります。

(2024年2月現在は4種類、2024年4月から2種類に)

標準計算ルートと仕様ルートです。

仕様ルートでの計算の場合、適合基準を満たす必要がありますが、適合判定を受ける必要はありません。

その代わり、各種必要事項(部位の熱貫流率や部位の断熱材の熱抵抗値など)を図面に記載していく必要があります。

また、補助金等の申請に使えるかどうか、現時点(2024年2月)で不明です。

 

※国交省「住宅の省エネルギー基準と評価方法2023」1-013より抜粋

省エネ計算のフォーマット

省エネ計算(外皮計算)のソフトは市販のものと国で公開している無料のものとがあります。

外皮計算のフォーマットについてはこちらの記事をご参照ください。

住宅の外皮計算はエクセルや無料ソフトでできる?

外皮計算をエクセルでやりたいんですが方法ありますか? もちろん、あります。国で配布している無料のものです。・・     エクセルで外皮計算をする 外皮計算をできればソフトなど購入せ ...

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一番ポピュラーで国土交通省のマニュアルでも採用されている住宅性能評価表示協会のもの

で進めていきます。

 

一次エネルギー消費量計算の計算についてはWebプログラム上で行うことになっていますが、今回は外皮計算の解説につき、

一次エネ計算はまた別の機会に。

省エネ計算の概要

外皮計算は以下の順番で行います。

step
1
部位別計算シートで各部位の熱貫流率を計算。

step
2
外皮面積を拾い、図面に記入しておく。(屋根、壁、床、基礎など)

step
3
計算書に入力、結果が出ます。

 

①と③はエクセルにデータを入力する作業、②は図面上で拾い、メモしておく作業です。

部位別計算シートの入力方法

部位別計算シートです。いくつかルールがあり、その通りに入力していきます。

ルールについてはこちら(算定方法、第三章第三節)をご参照下さい。

 

①熱橋面積比→木造在来の場合、一般部0.86、熱橋部0.14です。

②表面熱伝達抵抗→この場合、内側、外側ともに0.09です。(外気に接する)

③同様に外壁、床、基礎についても同様に入力していきます。

この例の場合、ウッドファイバーを屋根に360mm吹付しています。

各部位の熱貫流シート入力を終えたら、任意の場所に保存しておきます。

また、申請提出用にPDFが必要です。PDFでも保存しておきましょう。

 

次に内訳計算シートAです。まずは外壁と窓の仕様を入力します。

あらかじめ、それぞれの窓の仕様と寸法を確認しておきましょう。

 

これを4方向入力します。

続いて内訳計算シートBです。ここでは屋根・天井と窓の値を入力していきます。

ここについても面積を入力しますので、前もって屋根、天井、床などの部位の面積をメモしておきます。

最後に内訳シートのC 土間床や基礎の入力です。基礎の評価もなかなか複雑で、別の機会に解説します。

ここまで入力が正しいと1番最初にある計算書表紙にUA値が自動計算され、表示になっています。

 

以上が計算の概要です。これらのエクセルシートへの入力はルールさえ守ればそんなに複雑なことはないです。

 

ただ、ここに出てこなかったエクセル以外の作業(面積拾い、窓の仕様確認、基礎のΨ値計算)に慣れないとかなりの時間を取られます。

 

結果です。この住宅のUA値は0.25W㎡/h、等級6をクリアしていますね。

このように、部位別計算シート、内訳シートのABCの内容を統合するとUA値が出るようになっています。

まとめ

  • 2025年4月から住宅省エネ適合が義務となり、確認申請時、適合判定を受けなければならなくなります。
  • 省エネ計算には標準ルートと仕様ルートの2種類があり、仕様ルートの場合、適合判定は不要。
  • 外皮計算シートは住宅表示評価協会のホームページでダウンロードできます。
  • 建築研究所の技術資料に詳細のルールがあり、そちらの参照も必要です。

以上が住宅の省エネ計算の概要です。大枠のイメージはできましたでしょうか。

仕様ルートによる計算は補助金等で使える使えないが現時点で不明ではあり、また標準に比べ数値は弱く出る

というデメリットはありますが、それでも適合判定を省略できることから、

多くは仕様ルートになっていくのではと予想しています。

 

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