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一次エネルギー消費量をもっと削減する方法

長期優良住宅やBELS、ZEH認定で一次エネルギー消費量が基準に届かない、そんなことはありませんか?

Webプログラム上で規定値ではなく細かく数値を入力していくことが必要ですが、どの数値が一番有効かは入力してみないとわかりません。

そこで今回はモデルプランを使って様々なパターンで実際に入力してみました。是非、ご参考にしてみて下さい。

 

一次エネルギー消費量とは

一次エネルギー消費量は建築物省エネ法で定められた建物のエネルギー消費量のことです。

冷房・暖房・換気・給湯・照明・家電で消費されるエネルギーの量を原単位であるジュールやメガジュールに

換算して計算するもので計算はWebプログラムですることになっています。

 

省エネ基準では地域と建物の大きさ、性能によって基準消費エネルギー量が算出されます。

設計する建物がこの基準エネルギー消費量より少なければ省エネ基準クリアとなります。

 

一次エネルギー消費量計算

一次エネルギー消費量は基準エネルギー消費量/設計消費エネルギー量の値をBEI(Building Energy Index)として評価します。

削減率によって等級が定められています。

BEI 等級
0.8以下 6
0.9~0.8 5
1以下 4

 

長期優良住宅や認定低炭素住宅の要件は等級6(BEI0.8)です。省エネ基準に基づき、Webプログラムで算出される基準の消費エネルギーから

太陽光発電をカウントせずに20%削減するというもの。外皮の性能によってはまあまあ厳しめのハードルになることもあります。

 

届かなければ絞り出す

絞りだすとは何やらマラソンとか駅伝のようですが、実際に計算してみると基準に少しだけ届かないということがよくあります。

そんな時に、詳細計算の中の選択項目を細かく選択していくことで消費エネルギーをより減らしていくことが可能になります。

 

具体的に何を選択するとより削減できるかをシミュレーションしてみましたのでご覧ください。

◎建物条件:105.99㎡(4間×4間)、総二階、

◎建築地 :6地域エリア

◎ベースの仕様:UA値 0.55W/㎡k、冷暖房はエアコン、壁付第三種換気、エコキュート

◎現状  :全ての入力項目で「規定値」を選択、

◎結果  :BEI 0.82

今回はこのBEI 0.82を長期優良や認定低炭素基準であるBEI 0.8(等級6)にすることを目標とします。

 

暖房・冷房

Webプログラムの画面はこちら

削減シミュレーションはこちら↓ 赤く囲っているところが80%に到達したところです。

 

エアコンの選定で規定値ではなく、より高性能なエアコンを選ぶことで1〜2ポイントの削減が可能です。

ちなみにエネルギー区分の(は)は規定値とイコールなので削減不可能です。

 

削減できる条件は、主たる居室のエアコンエアコンのエネルギー区分(ろ)以上であるところです。

その他の居室やエネルギー区分(は)では削減に寄与しません。

 

換気

換気の場合、比消費電力を入力するのがポイントになります。

三種換気の場合、比消費電力を入力します。式は消費電力/設計風量です。

例えば60Wの機種で150㎥/hの換気を賄う場合、60/150=0.4、比消費電力は0.4となります。

 

但し、数値としては0.2以下の小さい値でないと削減に貢献しない点に注意が必要です。

つまり、必然的に換気風量が小さいけれど、沢山換気ができる機種ということになります。

 

ダクト三種の場合は、ダクト径の太い(75mm以上)物だけを使う、更にDCモーターと併用することで削減が可能です。

 

第一種換気は単に80%の熱交換でも比消費電力を入力してもほぼ変化はありません。むしろ電力消費量はファンが2つあることで

三種に比べて大きくなっています。

この場合、80%以上の温度交換効率であり、太いダクトであり、且つDCモーターのセットでようやく4ポイントの削減となります。

 

壁付けの一種換気は、熱交換効率80%と比消費電力で結構な削減が見込めます。全般的にファン動力が小さいからでしょう。

 

給湯

 

エコキュートの場合、JIS効率を入力しますが、今回のモデルの場合JIS効率3.0以上で3ポイントの削減になりました。

給湯機の種類で言うとエコワンが最強です。中でも暖房も給湯も電気ガスの併用でタンク容量が160L以上の(区分2)選択で10%以上の削減ができました。

 

エコワンについてはこちらの記事もご参照ください。

エコワンってどうなの?給湯と暖房が1台でできるって本当?

エコワンってどうなの?本当に使えるの? はい。使えますよ。詳しく見てみましょう。   「エコワン」ハイブリッド給湯・暖房システムとは ハイブリッド給湯・暖房システムとはガスのパワーと電気の効 ...

続きを見る

 

水栓

水栓は浴室のシャワー水栓と高断熱浴槽の選択のいずれかが効果的でした。

 

 

照明

照明は主たる居室に多灯分散と調光を選択すると合わせ技で2ポイントの削減。

それ以外の削減幅は限定的でした。これは主たる居室とその他の居室などの面積比率で変わってきますので

その点も注意が必要です。

 

 

まとめ

◎一次エネルギー消費量は規定値ではなく、細かな選択をすることで削減可能です。

◎エアコンは主たる居室を(い)に。

◎三種換気は比消費電力を、ダクト三種はダクト径とDCモーター

 一種換気は熱交換効率80%以上と太いダクトとDCモーター、壁一種は比消費電力を

◎給湯はJIS効率やモード効率を入力。最強なのはエコワン160L以上。

◎水栓は浴室シャワーと高断熱浴槽

◎照明は主たる居室の多灯分散と調光を。

 

一次エネルギー消費量を削減できる技をご紹介しました。いかがでしたでしょうか。

 

今回は目標を2ポイント削減としたので、ある意味細かい削減のご紹介です。

一つ一つ検証しましたが、いくつかの組み合わせがより有効であることは言うまでもありません。

 

また、5〜10%届かないという場合はもっと根本的な外皮性能からの見直しが必要です。

本当は外皮で充分に削減できて、設備はミニマムで、というのが理想ですね。

 

尚、シミュレーションはあくまでも指定した条件下でのみのものです。

地域、UA値、向き、坪数が異なると結果も異なってくることにご注意くださいませ。


一次エネルギー消費量計算や省エネ計算についてわからないことや困ったことがあればご相談下さい。

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