字面を見ると確かに息苦しい⁉️ 住宅って、
「開放感のある間取り」や「間仕切りのない広々とした空間」や「心地よい風の通り道」
が売り文句だったりしますが、高気密ってなんか逆です・・・。
先日もある住宅の気密測定をしてきました。これはその時の写真です。
良い機会なのでなぜ気密が大事なのか、どんな意味があるのか
あらためておさらいしてみたいと思います。
気密性とは?
気密性とは、
「室内外を隔てる外周部分(外皮)又は建物の部位で内外を隔てる部分の密閉性の程度。」
のことで
「総相当隙間面積又は相当隙間面積で表す。」
(JIS A 2201 送風機による住宅等の気密性能試験方法 より)
気密測定とは?
気密測定は「送風機を用いて室内外に圧力差が生じたとき,外皮又は部位の隙間を通して通気が発生する。このときの通気量及び室内外の圧力差を測定し,建物及び建物の部位における気密性能を測定する。」とあります。
送風機で圧力差を生じさせ、隙間からの通気量を計るということですね。
写真は測定する状態のものです。その状態にするのに換気口、排水溝、レンジフードなどの外部と通じる箇所は養生テープなどで目張りをします。
その準備だけで小一時間かかります(汗
この状態でスイッチを入れるとファンが廻り、室内の空気を外に吐き出します。
すると室内側が負圧状態になって、もしどこかに隙間があるとそこから外気が入ってくることになります。
その入ってくる外気の量(減圧式の場合)を測定して、気密エリアの面積で割ります。
120㎤の空気の流入があって、気密エリアが132㎡のときの気密性能値(C値)は
120㎤/132㎡=0.9㎠/㎡
となります。ここまでを機械がやってくれる訳でして、それを気密測定と呼んでいます。
気密性能が大事な理由
気密測定資格試験のテキストに気密性能が大事な理由が書いてあります。
- 健康で快適な室内居住環境のために大事
- 計画的な換気をするために大事
- 壁内結露防止のために大事
- 熱損失を少なくするために大事
気密性を高めると隙間からの空気の出入りがなくなり、結果力任せの冷暖房が不要となり、温度ムラもなくなる。
正しい換気計画を実現させ、的確な換気量を確保する。壁の中に水蒸気を入れないことで断熱材の結露(壁内内部結露)を防ぐ。
断熱材とも合わせ、熱損失を少なく抑えることができるなど。
気密性を高めるのにはそれなりの理由はありますね。
これは気密性が低い住宅でストーブをつけているところです。
暖められた空気は上昇し、屋根や壁の隙間からどんどん外へ逃げていきます。
そして外に出ていった分と同じ量の冷たい空気が床下や低い場所の隙間から入ってきます。
「なんか足元が寒い」といってストーブを強くすると余計に冷たい空気が下から入ってくるという現象が起こります。
気密性が高い≠息苦しい
気密性を高めることは気密をする範囲を決めて、エリアを区切ることで計画換気を可能にすることです。
気密性がいくら高くともきちんとした換気計画がなされ、施工もされていれば息苦しくなることはありません。
また、高気密高断熱住宅は窓を開けてはいけないという訳ではありません。
快適なシーズンや時間帯があれば積極的に窓を開けてすごして全然OKです。
まとめ
- 建物の気密性とは「室内外を隔てる外周部分(外皮)で内外を隔てる部分の密閉性の程度」のこと
- 気密測定とは「送風機で圧力差を生じさせ、隙間を通る風の量を測定する」こと
- 気密は快適な室内環境の実現や結露防止、冷暖房負荷の軽減のために大事
- 気密性が高くても息苦しいこととは違います。窓を開けて換気ももちろんOK
なんのために気密性を高めるのか?
高断熱高気密住宅のためではないです。
そこで暮らす人が心地よく過ごせるためなんです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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