blog 省エネ計算 適判義務化

アパート・マンションの省エネ適合判定義務について

 

今回は4月からスタートするアパート・マンションにおける省エネ性能適合義務について解説します。

届出制度そのものが廃止となり、全てが適合判定義務の対象となります。

アパート・マンションの省エネ適合判定のポイント

新基準では、すべての新築建築物が省エネ基準適合義務の対象となります。

特に注意したいのは、床面積300m²以上の共同住宅もその対象となる点です。

 

これまで300㎡以上(中規模)と2000㎡以上(大規模共同住宅)の住宅(アパートやマンションなどの共同住宅を含む)について、

省エネ関係の法規は、「届出」が義務付けられていたものの、省エネ性能の基準適合自体は義務ではありませんでした。

 

それが4月以降は「省エネ適合」が義務に変わります。

・~4月 ⇒ 「届出」・・・・省エネ性能について法的な強制力なし

・4月~ ⇒ 「適合義務」・・省エネ性能基準適合が義務

 

一番のポイントは、「基準に適合していない場合、建築許可がおりない」点です。

 

適合基準には、以下の2つの要素があります。

◎一次エネルギー消費量(BEI):BEIを1.0以下に抑える必要があります。

 これは、冷暖房換気給湯照明など建物全体のエネルギー効率を示す指標です。

◎外皮性能:UA値(外皮平均熱貫流率)とηAC値(平均日射熱取得率)が、地域に応じた基準値以下である必要があります。

 これらは、建物の断熱性能と日射遮蔽性能を示す指標です。

 

アパート・マンションの省エネ適合計算

省エネ基準への適合評価方法には、主に2つの方法があります。

  1. 仕様基準で評価する
    • チェックリストを用いた簡易な方法
    • 省エネ計算が不要
    • 省エネ適判手続きが不要
  2. 標準計算で評価する
    • 詳細な計算を行う方法
    • 外皮性能と一次エネルギー消費量を個別に計算
    • 省エネ適判手続きが必要

仕様基準は作業としては比較的簡単で、且つ適判手続きが不要ですが、

断熱箇所でひとつでも弱いところがあるとNGだったり、使う設備に縛りがあったり(床暖房NG)など

設計の自由度が低くなります。

 

一方、標準計算は複雑で、登録第三者認証機関による適合審査を含む適合判定手続きが必要ですが、

より柔軟な設計が可能です。

 

実際には案件の特性に応じて、仕様基準と標準計算を使い分けることも考えられます。

 

アパート・マンションの省エネ適判手続きの流れ

新基準の施行に伴い、建築確認申請の手続きも変更されます。

適合判定が必要な標準計算の場合、建築確認申請と同じタイミングで、第三者認証機関か行政庁の「適合判定通知書」を提出する必要があります。

 

つまり、確認申請に先立って省エネ計画を固め、審査も終えておく必要があるということです。

実際には、省エネ計算をする⇒計画書を作成する⇒登録機関(or行政)で審査を受ける⇒確認申請へという流れとなります。

 

適合判定を必要としない「仕様基準」で評価する場合や設計性能評価を取得する場合、

長期優良住宅の認定を受けた場合などの場合は以下のスキームとなります。

標準計算、仕様基準のどちらとも完了検査の際、申請時の省エネ性能が確保されているかの検査があります。

施工中の断熱材などは、計算書通りのものが施工されているかどうかを写真などで確認しますので、施工写真はマストとなります。

 

まとめ

 

・4月以降は新築アパート・マンションも全て省エネ適合が義務となります。

・評価方法には簡単で適判手続きの不要な「仕様基準」と複雑で適判手続きが必要な「標準

 計算」の2種類があります。

・確認申請周辺の手続きも、変わりますので注意が必要です。

いかがでしたでしょうか。

4号建築物がなくなり、アパート・マンションも全て新2号建築物となります。

構造だけでなく省エネの側面からもよりシビアな性能を求められるようになり、手続きも少々煩雑になります。

 

次回はアパート・マンションの省エネ計算の具体的な例をご紹介します。

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