質問 あなたは、まだ契約していないお客様に自社の断熱気密の話をしていますか?
よくある答え ・興味なさそうなのでしていない ・するけれど、難しくならないよう通り一遍の説明だけ
そうでしょう。
耐震と並んで温熱は住宅選択項目の中で分かりづらいツートップですね笑
今回はそんなあなたに「ほんとうの温熱プレゼン」をおススメします。
ほんとうの温熱プレゼンとは
「ほんとう温熱プレゼン」とは自社の温熱的な強みを理解してもらい、
受注の大きなポイントとしてもらうために行うプレゼンのことです。
言い方を変えると、「温熱プレゼンは受注の大きな決め手になり得る」といったところです。
そう思いませんか?
温熱の話はみんな面倒がられるからと言っておざなりに済ませています。
その結果、「住んでみたら思ってたよりに寒い」のようなミスマッチが生じたり、
「もし、もう一度家を建てられるなら、今度は断熱気密をもっと重視したい」のようなアンケート結果が出てきたりします。
みんなスルーしてしまっているからこそ、ここをきちんと押さえると強みになると思いませんか?
肝心の性能については、これを読んでいるあなたの会社ですから、G2前後はあるという前提でお話しします。
いまどき、もはや等級4ではないはずで、そこはどの会社さんもそこそこできる体制になっていますよね。
つまりG1やG2がもう差別化要因にはならないというところから話を始めないといけません。
「どうしたら聞く耳を持ってもらえるか」
とは言っても「要望ないので・・・」
これも良く聞きます。お客様から「温熱の説明を聞かせて欲しい」と言われることはまずないでしょう。
そうですよね、
「キッチンは絶対○○の△△!」や
「書斎はどうしても欲しい!」のように
「断熱レベルは最低でもG2で」というユーザーはまずいません。
ユーザーは(はじめは)温熱に興味も知識もないのが前提になる訳ですが、興味も知識もない温熱こそが実は
ユーザーのQOLに大きく係わることを我々はもっと伝えなければなりません。
ところで、みんなが気になるキーワードがいくつかあるのですが、「後悔しない○○」はアクセスの多いキーワードのひとつです。
書店を見渡せば「後悔しない○○」というタイトルの本は沢山目に入ってきます。そりゃもちろんみんな後悔したくないに
決まっていますから、その情報を欲するのは当然です。
家づくりも例外ではなく、みんな後悔したくありません。
だから、家を建てた人たちがどんなところを後悔しているか、そしてそうしないために何をどうすればよいかをお話しすることは、
「難しそう」でも「面倒」でもなくユーザーにとってありがたい話な訳です。
我々は、温熱の話をそこからスタートすれば良いのです。
急に「UA値とは」「C値とは」なんて始めようとするから、ユーザーはそんな話はいらない、となるのです。
家づくりでよくある後悔の事例として、家を建てた人に聞いたアンケート結果で多い「断熱気密に関して不満」とか、
「イメージしていたのより住んでみたら寒かった」などの声を用意し、提示します。
そして、「弊社の建物ならこうはなりません・・・なぜなら~」とつなげるとスムーズに説明できそうな気がしませんか?
「そして、後悔しないだけではなく○○がこんなに優れていて~~」と付加価値説明に移行しても良し。
一見、要望なさそうで、面倒そうな温熱プレゼンがフックになり得るというのはこのようなことです。
視点と言い方を変えれば、面倒が大事なポイントに変わる訳です。
この枠組みですが、図らずもスティーブジョブズさんの極意に通じるものがありまして、ご紹介します。
プレゼンの極意として、彼は①計画はアナログでまとめる、や②一番大事な問いに答えるなど、に続き
⑥敵役を導入する⑦正義の味方を登場させるという方法を挙げています。
彼の場合、適役は「マイクロソフト」で、正義の味方は「iMac」だったのですが、
ここに温熱を当てはめてみましょう。
例えば敵役は「後悔する断熱等級4の建物」で、
正義の味方は、「パッシブデザイン思想で十分考慮された自社のG2.5住宅」
というのはいかがですか?アレンジや肉付けはご自身の設計やコンセプトに置き換えてみていただいて。
ジョブズさん並みに共感を得られそうな気がしませんか?
「普通のプレゼン」と「ほんとうのプレゼン」の違い
ここで「普通の」プレゼンと「ほんとうの」プレゼンを比べてみます。
「ほんとうの」プレゼンの目的は、自社の温熱性能の良さを理解してもらい、
自社を選んでもらう大きなポイントとして認識してもらうことにあります。
ですのでユーザーに何をどのように、どの順番で話すか、そこにどんな意味を持たせるのかを慎重に考えたものになっています。
<導入> ◇普通のプレゼン → UA値とは、C値とは、うちの性能はこうでこうで・・・ ◆ほんとうのプレゼン → まずはインタビューで温熱リテラシーを探る
解説
一番大事なのは、「はじめに価値観を共有すること」です。 それにはユーザーがどのくらいの情報をお持ちかヒアリングからスタートします。 興味も知識もないユーザーにカタい話はもってのほかです。共感も価値観の共有もできていない段階で間違っても、 「UA値とは」「C値とは」「壁の中に断熱材が20cmも」などから始めてはいけません。
<順番> ◇普通のプレゼン → 性能が良いのでエアコン1台でOKです。 床暖房?できますけど高いですよ。 説明することが目的に。 ◆ほんとうのプレゼン → 温熱環境がお客様にとってなぜ大事で、 どのようなメリットがあるのかを理解してもらう。 次に自社の仕様とお客様のイメージの擦り合わせをする。 数値は手段であり、目的はお客様のしあわせというスタンス。
解説
概要をつかんだ後で、いきなり冷暖房や換気の話になりがちですが、 (換気は一種がいいんですかそれとも三種で大丈夫ですかと聞かれてもどっちとも答えないでください。) 大事なことは設備をどうこうすることではなく、自社の断熱的なコンセプトをユーザーのイメージと 擦り合わせていくことです。少なからずギャップはあるはずなので。
<意味>
◇普通のプレゼン → 説明が必要だからやっているだけ。
なるべくさーっと流してしまいたい。
◆ほんとうのプレゼン → 自社の設計的な強みと温熱的な特徴は一体のもので、
その強みを理解してもらうことが受注に繋がり、
顧客満足につながることを理解している。
解説
いうまでもなく、説明のための説明と、ユーザーのことを考えたヒアリングをもとにした擦り合わせでは 意味合いが全く違いますね。また、ポイントは温熱も自社の設計コンセプトの一部であるという認識です。
まとめ
・ほんとうの温熱プレゼンは受注のフックになり得る。
・聞く耳は「後悔しない○○」で作られる。
・後悔を先取りして安心に変えるヒアリングが大事。
・説明のための説明ではなく、ユーザーの幸せのための説明。
・実際の中身は自社のコンセプトと組み合わせて考える。
いかがでしたでしょうか。
「ほんとうの温熱プレゼン」について少しはお判りいただけたでしょうか。
ぜひ、ご自身のケースにアレンジしてみてください。
温熱は言葉にするのがなかなか難しいジャンルです。
ここで伝えきれていないプレゼンテーションの深い部分を伝えるには多少のスキルも必要になってきます。
そこはまた別の機会に。